第一章「ラリカ=ヴェニシエスは猫と出会った」

幼い頃に出逢った『魔法使い』に執着する青年が居た。

彼はただ『魔法使い』との再会のみを望んで生きてきたが、十年以上その足取りは掴めずにいた。そんな中、かつて『魔法使い』と出会った町に有名なパワースポットの井戸があると聞いた彼は、自分の妄執に決着をつけるため、懐かしの土地を再訪する。

『魔法使い』との思い出の土地を巡った後、最後の思い出として、噂になっていた井戸を確認する。その時、井戸の奥に光る何かを見つけた彼は、不注意から井戸の奥へと身を落としてしまった。

次に、目を覚ましたとき、彼は純白の世界の中で懐かしの『魔法使い』の少女『雪華』と再会を果たす。だが、長年の悲願であった再会を果たしたものの、雪華から発せられた言葉は『気持ち悪い』だった。彼の事をろくに覚えていない雪華の様子に、彼は今までの人生を絶望する。

しかし、雪華はそんな彼に構うことなく、何故か『術式が見える力』と、『術式に関する知識』という力を彼に与えると、異世界へと放りだした。

異世界で目を覚ました彼は、何故か『ミルマル』という猫に似た生物の姿に変わっていた。歩くことさえ覚束ない中、彼は幼い少女『ラリカ』に拾われる。実は、この少女『ラリカ』には、大きな秘密があった。

そして、彼が少女に拾われるのと時を同じくして、ラリカの住む町で強力な魔獣の目撃情報があった。
不穏な情勢の中、彼は自らを拾ってくれた少女への恩義を返すため、ラリカのペット『くろみゃー』として、与えられた力を使い奮闘する。